上半身の柔軟性と『ボール技術』の関係性
2019/07/09
サッカー界では下半身と上半身の筋力強化、そして下半身の柔軟性確保に比べ、‘‘上半身の柔軟性’’はまだまだ軽視されがちの様に思います。しかし、上半身の柔軟性は対人プレーの勝率や、ボールを扱う技術にまで多大なる影響を及ぼします。 この記事ではその上半身の柔軟性と競技力の関係について書いていこうと思います。 ?相手を背負った時、相手と並んだ時、戦っているのは足でなく腕 上半身の柔軟性、特に肩甲骨周辺の筋肉の柔軟性を高める事で、対人プレーの勝率を圧倒的に高める事ができます。ゲーム中、相手DFとデュエルを行う際、自らの体幹部のどれだけ後ろで相手を抑える事ができるかがボールロスト率に大きな関わりを持つからです。 腕を使って相手を抑え込もうとする時、『ボールからどれだけ離れた位置に相手を抑えておけるか』はボールホルダーの肩甲骨の可動性が司っています。
肩甲骨を後方へ大きく稼働させられる選手は、自分の体幹部よりも後方で自分の腕VS相手の戦いを行う事ができるのです。 この点に関して、実は世界最高のレベルにあった日本人 選手は、元日本代表の中田英寿選手です。 彼のデュエルシーンを見ると、自分の体幹部よりも後方で戦える手を備えていた事がはっきりとわかります。 短い動画を作りましたので、相手DFがバランスを崩す位置、失速する位置にご注目ください。
いかがでしょう。動画を見れば、中田選手に接近するDFが全て彼の大観部よりも後方で失速するのが解ります。肩甲骨の動きにより腕がどこまで後方へ降る事ができるかという能力は、相手DFをどれほどボールから離れた場所に押さえ込んでおけるかと深い関わりがあるのです。 また、この点に非常に優れた現役選手が、ブラジル代表のネイマールです。
(異常なまでの肩甲骨可動域) 彼らの様に対人プレーに優れた選手の多くは、自らの体幹部よりも後方で戦うことのできる腕(肩甲骨可動域)を備えています。逆に、肩甲骨周りが硬く腕を大きく後ろに出せない選手は、それだけでDFに懐に入られ安い身体をしていると言うことです。 選手のボールキープ力は、ボールを使った訓練ではなく、(肩甲骨周りを中心とした)上半身の柔軟性を高める事で、格段に向上します。 ?上半身の柔軟性とボール操作技術の関係 また、上半身の柔軟性はボールを扱う技術にも大きく影響している事がわかっています。 以前、私は上半身を動かすと、ボールを扱っている足先にはどんな影響があるか?を調べる実験を行いました。小さなボールでリフティングを続けながら、腕を振り上げたり、回したり、指示された動作を行うというシンプルな実験です。 この実験を通して、腕を回したり、振り上げたりする振動は、足先にまでしっかり伝わり、ボールコントロールの制度に大きく影響を及ぼしている事がわかりました。そして、肩甲骨周辺の柔軟性低い人ほど、この傾向は顕著に見られたのです。
(腕を振り上げるだけでも、ボールコントロールの質は落ちる事が判明) さらに、この実験を行なった後、上半身の柔軟性を高めるトレーニンングを入念に行い、再び同じ実験を行うと、ミスの回数は大きく下がりました。 上半身の柔軟性を高める事で、受けた衝撃をしっかり吸収し足先の動きの制度を高める事ができるのです。 ?上半身も、下半身も、柔軟性の重要度は同等に考えるべき 今回は二つの例を交えて解説しましたが、上半身の柔軟性が及ぼすプレーへの影響はこの二つのみに限りません。上半身の柔軟性は、下半身のそれと同等に価値を見て向上させていくべきテーマです。