FOOTBALL PONEGLIFF

研究してはいけない才能の秘密『フットボール・ポーネグリフ』

休養でここまで変わるベテラン選手の動き(三浦知良選手の映像で解説)

      2025/01/23

現代の日本サッカーでは、三浦知良、小野伸二選手、中山雅史選手、中村俊介選手などを筆頭に、多くのレジェンドプレーヤー達が未だ現役を続けており、『未だ彼らはチームの全メニューをこなしている』といった報道をよく見かけますが、

選手は30代に差し掛かると、疲労の抜け方に大きな変化が現れるため、試合に向け行うべきコンディショニングは、若い選手達とは全く異なります。

全てのベテラン選手は休養が足りていない

今回の記事で言及したいのは、ベテランと言われる選手のほぼ全員が『トレーニングのしすぎである』と言うことです。疲労といえば、主に試合の後半のパフォーマンスに対して影響を及ぼすものだという認識が強いかと思いますが、疲労は選手の全てのプレーに大きな影響を及ぼします。

以下の動画を見てください。

動画は三浦知良選手のプレー映像になりますが、動画の前半部分と後半部分の動きの違いに注目してください。

いかがでしょうか。動画の前半部分は三浦選手の動きが非常にぎこちなく硬い印象を受けるのに対し、後半部分は前半部分よりも明らかに動きにキレがあり、動作がスムーズなのがわかると思います。

この違いを生んでいるのが、筋肉繊維の疲労なのです。

こんなに休ませて良いの?と言うくらいの休養が必要

私は20代の頃から肉体疲労の除去についての様々な実験を行ってきましたが、現段階では30代後半に差し掛かった選手が試合で高いパフォーマンスを発揮するためには、『試合日以外は全てリカバリー』というくらいのトレーニングサイクルが必要だということが判っています。

私達の身体は、試合後2日間も休めば体感的な疲労感は消え去りるものですが、疲労で固まった筋肉が普段の柔軟性を取り戻すためには、本来そこからさらに2〜3日間を要します。

自覚できるレベルの疲労が抜けたとしても、実際に前屈の測定などで計測してみれば、筋繊維の柔軟性はまだまだ戻っていない事がわかります。

自覚を主とした疲労感が抜けた後も、ベテラン選手の筋繊維がしっかりと回復するには、そこからさらに2日程度の休養期間が必要です。

掲載した動画の後半部分は、三浦選手が所属していた小学生チームの初蹴りの動画です。年末年始はどのプロチームも活動を行なっていいないため、一年を通して選手の疲労が最も抜けている時期です。

つまり、加齢によって回復力の落ちた体は、年末年始レベルの休養を取ってようやく本来の高い柔軟性を取り戻すという事です。この状態をシーズンの中で維持するためには、、先ほど述べた『試合日以外リカバリー』と言えるレベルのトレーニングサイクルを作る必要があります。

ベストパフォーマンスを引き出す『しぼんだ身体』

選手の疲労が完全に抜けた一つの指標として、身体のサイズが少し『しぼんだ状態』になるというものがあります。体調を崩して数日間オフを取ったりすると、復帰した時に筋肉が少し減った様に見える事がありますが、それは筋肉量が減ってしまったわけでは無く、日ごろの疲労によってパンプアップしていた身体が、実際の形に戻っただけです。

上の動画では、後半部分の三浦選手の方が身体が細く見えるはずです。(服の色を考慮したとしても)

そしてこの状態こそが、完全に疲労の抜けた合図であり、サッカーの試合においてベストパフォーマンスを発揮できる状態なのです。

原理は風船を考えてみれば分かりやすく、膨らんだ風船より、空気を少し抜いた風船の方が柔らかいですよね。

これと同じことが筋肉でも起こります。疲労によって膨らんだ筋肉は柔軟性を欠き、私達の動作からダイナミックさを奪います。

そして以前の記事でも言及した通り、30代の選手と20歳の選手とでは、細胞分裂のスピードが30%も違う、

ベテラン選手の方が回復が30%も遅いのです。

だからこそ、ベテラン選手は他の選手よりも遥かに多くの休養をとり、筋肉の膨らみをしっかりと取り除く必要があります。

休養不足は三浦知良、小野伸二、中村俊介、多くのベテラン選手に見られる。

今回は三浦知良選手の動画を例にとって解説しましたが、日本でプレーするベテラン選手のほとんどに、今回取り上げた疲労蓄積の傾向が見られます。

20代のパフォーマンスをベテランと言われる年齢になっても維持する、又は取り戻す方法は、私の研究のメインとも言えるテーマですが、今回言及した疲労蓄積の改善も、ベテラン選手がトップパフォーマンスを維持するためのには非常重要視すべき要素です。

現在のサッカー界ではかなり軽視されている様には見えますが、

その重要度は、今回掲載した動画を繰り返し見てもらえれば、誰の目にも明らかなのではないでしょうか。

 

 

 

 

 - 未分類