FOOTBALL PONEGLIFF

研究してはいけない才能の秘密『フットボール・ポーネグリフ』

『進撃のY』矢部さんのドリブル改造について

      2020/05/04

今回の記事では、YouTuberの矢部さんに行なった『才能の書き換え』について、(指導の関係で)表に出せる範囲になってしまいますが、書いていこうと思います。

今回、矢部さんのドリブルを改造するにあたり、私が実地したトレーニングは以下のものです。

才能の書き換え1:身体の様々なパーツを後ろ側へ

まず一つ目がこれ、ある目的を達するために彼の身体の様々なパーツを身体の後ろ側へ下げる肉体改造を行いました。肩の位置や顔の位置を以前の位置よりも後ろ側へ下げることによって、身体の重心が少しだけ後ろ側へ下がります。

重心の位置が後ろへ下がると、

ボールを持ちやすい位置も、それと並行して下がっていくのです。


(重心が下がった分ボールを扱う位置も後ろに)

矢部さんの動画では、それを『ドリブラーの身体』と表現していましたが、世界に名だたるドリブラーは皆身体のパーツが一般選手よりも後ろ側に下がり気味の傾向があり、それにより、よりボールを自分の身体から離さずにドリブルをすることが可能となります。

彼らのドリブルは、しばしば『ボールが足に吸い付いて居る様だ』と表現されますが、それは訓練で身に付けるものでなく、こう言った身体の構造が生み出しているのです。

身体の近くにボールを置くと、ロケットスタートが出来る

ここで、誰かにパンチを食らわせることを考えてみましょう。

誰かを思い切り殴るときは、自分の腕が伸びきった状態で相手を捉えるより、曲がった状態でヒットした方が、パンチの威力は高いですよね?それは、筋肉にまだ力を発揮する余地がたくさん残っているからです。

この例と同じで、懐深い位置からボールにタッチすると、筋肉が力を発揮する余地が残った状態でボールを突くことができます。その分、前側でボールに触れるよりも爆発的なスタートが切れるのです。

矢部さんの動画のビフォーアフターを見ると、DFを抜き去る際に以前よりボールが『ポン』と勢い良く発射されている事が解ります。

ボールを持つ位置が近くになるだけで、足からボールが離れないだけでなく、突破の際の出だしも速くなる。ドリブラーにとって、懐深い場所でボールにタッチできる様になることは、突破を考える上で良いことだらけなのです。

シザースのキレの変化について

動画のコメント欄では、『シザースのキレが増した』とのコメントが多くありましたが、‘‘ボールを持ちやすい位置’’を手前に持ってくるだけで、実はシザースの動作が大きくなるのです。

理由は、身体の前にあるボールをまたぐより、身体の近くにあるボールをまたいだ方が難易度は低くなり、

またぐ足の軌道も横に広がるからです。


(シザースの足の軌道)

身体の構造を書き変えてしまえば、それだけで本当に様々なプレーに影響が出てきます。それは、動画中にあるインサイドの切り返しや、ノーモーションアウトも、原理は同じです。

才能の書き換え2:体幹の硬さ

近年のサッカー界のトレーニング理論には全身の柔軟性を重視する風潮がありますが、サッカーという競技を行う上では、実は筋肉は柔らかい方が良い部分と、硬い方が良い部分があります。

矢部さんの場合、以前の動画を見てすぐに全身の柔軟性が高すぎる事がわかりました。全身の筋肉が柔らかすぎると、地面から適切に反発をもらえなくなってしまうため、動きの爆発力が低下してしまいます。

矢部さんの身体は、ストレッチを入念にしすぎており、地面の反発を得られないパンクしたボールの様な状態だったのです。

そこで、トレーニングを行う数週間前に準備として、あるメッセージを送りました。それは。

体幹部のストレッチをしない様にしてください。

と、

体幹部をどれだけ固められるか?は地面からの反発をどれだけ効率よく受けられるかに大きく影響します。それだけでなく、ドリブル中のターンや急ストップの際にどれだけ身体をぶらさずに『バチッ』と止まれるかにも大きく関わります。

今回の動画から、矢部さんの動作全体に瞬発力が出たのがわかるかと思います。

適切な部位の柔軟性は適切な動きを作り、適切な部位の硬さは適切なキレを生み出すのです。

マイナスの副産物

『才能の書き換え』は動画で見た様に良いことばかりではありません。身体の構造が変化することで出来る様になるプレーもあれば出来なくなるプレーもあります。

その中で最も大きなマイナス面は、一時的に全般的なボールコントロール技術が、ガクッと下がる点です。私が『才能の書き換え』と呼んでいる肉体改造は、『他人の身体になる』と言っても過言ではないほど、選手の動きを変えます。

そのため、書き換えた身体が完全に定着するまでは、ボール操作のミスが多発する様になり、目に見えて『ヘタ』になります。

以下の動画をご覧ください。

矢部さんは、一対一のスタートの際、単にボールを運ぶだけのシーンで、何回もタッチミスをしてバランスを崩しています。こう言ったミスは練習を重ねることで、身体が慣れるのを待つしかないわけですが、

逆を言えば、こう言ったミスが出てくるなら、それは身体の構造がしっかりと書き換わっている証でもあります。

未来に起こる変化

それだけでなく、今回の書き換えを行なったことで、ドリブルだけでなく彼が現在トレーニング中の『コウチーニョショット』にも変化が出てくるでしょう。


(現在の矢部さんのコウチーニョショット)

一見関連のない技術の様に思うかもしれませんが、ドリブル技術とインサイドを使ったコウチーニョショットは、構造上密接な関わりを持ちます。

コウチーニョの様な、インサイドを使ったミドルシュートが得意な選手を思い出して見てください。

コウチーニョ
ネイマール
デルピエロ
メッシ
etc、、

日本人で言えば
久保建英
中島翔哉
etc、、

これら皆そろってドリブラーなのは、偶然と思いますか?

いや、全く偶然ではありません。

ここでは深い解説は避けますが、インサイドを使ったいわゆる『巻きシュー』『コウチーニョショット』は、ドリブラーの身体を持った選手ほど発動しやすい動作であることが、私達の研究によって解っています。

逆に、
岡崎慎司、
興梠慎三、
中山雅史

と言った、クロスに合わせる系の選手は、コウチーニョショットを打つための身体とは全く異なった構造を持ちます。そのため、キャリアの中でインサイドを使ったミドルシュートはほとんど決めることが出来ないはずです。

話を矢部さんに戻すと、彼の今後のシュート、特にコウチーニョショットに注目しておいてください。

必ず大きな変化、具体的に言えばシュートの威力が格段に上がっていくはずです。

今回の動画は、まだ序章に過ぎない

最後に、今回動画で出た変化は、まだまだ序章に過ぎないと言うことをお伝えしておきたいと思います。

動画で出てくる彼のプレーは、身体の構造が書き換わった直後であるため、『身体の使い方については初心者状態』でプレーしています。

トレーニングを重ねることで現在の構造が完全に定着すれば、彼のドリブルの破壊力は、必ずさらに高いものとなります。なので、今後も油断せず、彼が出す動画をしっかりと観察し続けていただければと思います。

 

 

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