左利きの全て
2024/08/09
この記事ではサッカー選手における『左利き』の身体構造について徹底解説していきます。
サッカー界では左利き選手には多くのメリットがあると考えられていますが、そのメリットについては、『多くの選手は右利き選手への対応に慣れているため、不慣れな左利き選手への対応は難しくなる。』であったり、『右脳と左脳の関係によりひらめきに優れる』と、現実の試合を通して確認を取ることができない、いい加減な予想ばかりが語られています。
しかし、左利き選手には、しっかりと確認の取れる範囲で『利き特有の優位性』が存在しています。正確には、‘‘左利き’’ではなく‘‘左足特有の優位性’’になるわけですが、左足には『サッカーの神が作った身体構造としか思えない』と言っても良いほど、右利きとは異なる身体構造が存在しているのです。
左足の特殊構造
サッカーの神が作った構造とも言える左足の特殊構造、それは、
多くの人は右足よりも左足の方が後方についている。という構造です。
(画像)
私達人間の身体は実は左右対称ではなく、同じように見えても全ての部位は非対称に付いています。当然、股関節もその例外ではなく、多くの人の場合は右足がやや前方に、左足がやや後方についているのです。
そのため、左足で行うボールタッチは、右足のタッチと比べより深い位置で行われます。そうなれば当然対峙する相手DFとは遠い位置にボールは置かれることとなり、全てのボールタッチは左足で行われるだけで相手に奪われにくくなるのです。
画像
左足の構造とサッカーのルール
ボール操作が後方になるため奪われにくいだけでなく、この構造はサッカーのルールにもミラクルフィットするという点が最も恐ろしいところなのです。
サッカーは、敵陣の深い位置にある相手ゴールを奪い合う競技です。そのため、ゴールを守るDF側からすれば常に自身よりも自陣側、つまり後方を守ることになります。ところが、左足はその構造上、ボール保持者の後方が最もボールを操作しやすい場所になります。つまり、DF側から見れば常に敵陣側にボールが置かれるということです。
図のように、相手DFが守るべきエリアと、対峙する左利き選手が持つボールの位置は基本的に重なる事がありません。
この左足特有のボールの配置は、どこのポジションであっても共通します。
(左サイドでもボールの置かれる位置は変わらない)
基本的にDF選手が自陣を守りながらボール奪取に行けるエリアは、敵陣と自陣の間に存在する“緩衝地帯“までとなります。(図①参照)敵陣側に置かれたボールを奪うためには、自陣エリアを飛び出していく必要があるため、高強度でボール奪取に行く事ができないのです。
実際に映像を用いて分析すると、左利き選手に対してのタックルは多くの場合でボール保持者の後方、つまり敵陣側へ向かって仕掛けられている事がわかります。
動画
もちろん、左足で操作されたボールも前方へ出ることはあるし、右足でも訓練次第でボールを後方へ配置させることは可能でしょう。しかし、無意識のタッチ全てにこの構造が備わっている所に、左足の圧倒的な優位性があるのです。
予備動作の無い左足
さらに、すべてのボールタッチにおいて、左足の予備動作は右足のそれよりも小さくなるという特性があります。
別記事で姿勢が良くなればその分ボールタッチの位置も下がり全てのタッチが読まれにくくなるとかきましたが、右足と比べより後方でボールをタッチする左足にも、それと全く同じ傾向があります。
この傾向は、当然左足で行なわれるボールタッチ全てに反映されるため、左足で行われるパス、ドリブル、シュート、全てのボールタッチは右足のそれと比べ相手に先読みされにくくなります。
小さな入力で強いボール
また、ボールタッチは体幹部の深い位置であればあるほど、小さな入力で大きな力を生むという傾向が存在します。
サッカーにおけるキックの動作は物理実験で用いられる“振り子“と全く同い運動と言って良いわけですが、この振り子に吊るされた錘が最も大きなエネルギーを発揮するのは、錘が落ち切った瞬間です。