FOOTBALL PONEGLIFF

研究してはいけない才能の秘密『フットボール・ポーネグリフ』

選手の長所を爆発的長所に変えるトレーニング

      2019/12/29

高速ウインガーや突進タイプのストライカーをさらに上のレベルに押し上げる肉体改造を例示したいと思います。

例えば、日本人選手の一例として伊東純也選手を考えます。

伊東選手は高速系のドリブラーである訳ですが、実はドリブラーとしてさらに爆発力を増加することが可能なタイプの身体をしています。彼の身体をより強化する場合、主に考えられる肉体改造は2つです。まず一つ目は、

骨盤がやや後傾気味

という点です。伊東選手は鋭い高速ドリブルを持ち味としていますが、アザールやムバッペの様なトップレベルのドリブラーと比べ、やや骨盤が後傾気味です。そして、骨盤の後傾は選手の加速度を下げます。

伊東選手はスピードに乗った状態でボールを受け、ドリブルに入るシーンが多い選手ですが、それは止まった状態から爆発的な加速で相手を振り切れない裏返しでもあります。一度ストップすると、なかなか加速ができない形、それが骨盤の後傾です。

この後傾した骨盤を前傾させる事で、腰付近にはアーチが生まれ、猫背気味の姿勢も改善されます。こういった変化を肉体に付加する事で、静止した状態からの加速、一歩目の推進力が大きく向上します。

ちなみに、加速という意味において現在の日本人選手で最も理想的な骨盤を持っているのが、FC東京の久保建英選手です。現在は細かなドリブルからパスによって攻撃を組み立てるゲームメイクタイプの選手ですが、近い将来必ず爆発力によって相手を置き去りにする高速ドリブラーへと変貌を遂げると私は見ています。

それを才能と言ってしまえば訓練で獲得のできないスペシャルな能力に見えてしまいますが、その正体は骨盤の前傾にあるのです。(厳密には骨盤の前傾と、4スタンス理論のBタイプである事)

言うのは簡単、では、実際に何をすれば前傾の前傾は手に入るのでしょう?

ここからは具体的な方法論に入ります。身体の形を変えようとするとき、具体的に行う作業はいかなる場合でも、

・筋肉を縮める
・筋肉を伸ばす

の二つのみです。

焼肉で肉を焼く際、はじめに火をかけた面が縮み、火に当たってない面は伸び、肉全体は火にかけた方を内側にしてアーチを描きます。肉体改造の原理もこれと同じです。縮めたい方の筋肉を筋力トレーニングによって肥大化させ、伸ばしたい方の面についた筋肉をストレッチによって伸ばしていきます。

骨盤の前傾を目的とした場合、腸腰筋を鍛え、ハムストリング(もも裏)を伸ばす事ができればその選手の骨盤は自然と前傾していきます。以下の画像をご覧ください。

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一般論として『背筋を伸ばせ』とか、『胸を張れ』と言われる事が多いですが、一流選手はそういった意識をしているからキレイな姿勢をしているのではありません。何も意識せずに勝手にその姿勢になっている。この事実を多くのトレーナーが見落としています。

重要なのは何も意識せずとも勝手にそうなる身体を作ること。

f:id:ryotadohi:20190612022422j:plain(エデンアザールの姿勢)

これ以降は細かくなりすぎて文章が多くなってしまうので割愛しますが、高速ドリブラータイプ選手の中には骨盤の前傾が十分で無い選手も沢山存在します。伊東選手に限らず、この肉体改造を行う事でそのドリブルの破壊力はグンと向上します。

手を後ろに振り上げると圧倒的な前傾姿勢ができる。

伊東選手のドリブルにより破壊力をつけるために、考えられるもう一つの肉体改造が、手を後ろに振り上げられる様にする事です。

爆発的な加速を持つ選手は皆、加速時に尋常じゃ無いほどの高さまで手を振り上げます。これは単なる傾向ではなく、実際に身体を前に倒すには手を後ろに振り上げる作業が必要となります。

この点伊東選手は一般のプロ選手と比べても腕が後ろに上がらず、腰の部分で細かく手を降る様な動きでドリブルを行なっているため、改善の余地があります。ここを改善することにより身体は前へ倒れやすくなり、初速の推進力が向上します。さらに、手が後ろに下げることによって分胸を前に付き出さなくてはならなくなり、ドリブル時の姿勢もよくなります。

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手が後ろに振り上がる人のランニングフォーム。(腕の曲がりが強く、肘が後ろに出ているのが特徴)

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腕が後ろに振り上がらない人のランニングフォーム。(腕の曲がりが浅く手を前で振るのが特徴)

手を後ろにも上がる様にする肉体改造は、ストレッチではなく初動負荷と呼ばれるトレーニングを行うことで、おおよそ10日間で誰の目にも明らかになるほど、大きく改善する事が可能です。

また、一度改善した腕の可動域は、週に1〜2回のトレーニングを5分ほど行えば十分に維持する事が可能ですので、一度やり方を覚えてしまえば選手個人でも十分に維持し続ける事ができます。

 

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