肉離れを通常の3倍早く治す方法を書きました。
今回の記事は『肉離れをできるだけ早く完治させたい』というアスリート向けの記事です。
肉離れの治療法については、インターネットで検索をかければ無数の治療法が紹介されていますが、回復を急いでいるアスリートにとって‘‘有益である’’と言える情報ではないですよね?
アスリートが探しているのは、より短い時間で肉離れを治す方法であって、『肉離れとは?』とか、『まずはアイシングをして安静に〜』とか、そんな初心者向けの情報ではありません。
というわけで、このページでは一般的な常識は大前提として、アスリートの肉離れを通常よりもはるかに短い時間で完治させる方法を書いて行きます。
【肉離れの前提を確認】
ここで紹介する治療法は、主に桃やふくらはぎの肉離れに対して圧倒的な効果を発揮します。怪我の規模として『スポーツはできないが歩くことは可能』といったレベルの肉離れに対応したモノとなります。『全く歩けないレベル』の重症である場合、本ページの治療法は異なってきます。
怪我の前提が揃ったなら、早速最速の治療法について説明していきます。治療は大きく分けて2つの段階からなります。
【段階1】最高の応急処置。初期の出血によって生じる瘢痕組織を小さくせよ。
肉離れを起こすと、破壊された筋繊維から出血が起きたり、炎症反応が発生します。この反応は大凡24〜48時間ほどで終了し、実際に回復の段階に入るわけですが、この初期の出血や炎症の度合いによって筋肉の修復にかかる時間は大きく変動します。
以下のイラストの様に、筋繊維からの出血によってできた瘢痕組織(カサブタの様なもの)を出来るだけ小さく抑える事によって、その後の回復を大幅に早める事ができるのです。
この瘢痕組織を小さくする為にはどうすればいいのか。以下に全てを書きました。
【瘢痕組織を小さくするために】
1:テープで筋肉を寄せる
2:アイシング
3:ボルタレンを摂取
4:微動だにしないほどの絶対安静
一つづつ解説します。
◉テープで筋肉を寄せる
まずは痛めた筋繊維をこれ以上以上引き延ばさない様、テープを使って患部周辺の『肉』を全て寄せていきます。これは指を刃物で切った時などに行う‘‘縫合’’と同じ様な働きを破壊された筋繊維に与える為です。痛めたばかりの筋肉は、ちょっとした刺激でも更に避けてしまう事があります。そのリスクを最小限に抑える為に、あらかじめ筋肉を寄せておく必要があるのです。
患部側に力がかかり続けるように、テープは伸縮性のあるキネシオテープがおすすめです。
◉アイシング
通常のアイシングを行います、このページを見ている方はすでにアイシングについての知識をお持ちだと思うので、アイシングの詳細は割愛します。
◉ボルタレンの摂取
次はボルタレンという炎症止めを手に入れましょう。ボルタレンは痛み止めとして知られている‘‘ロキソニン’’を上回る抗炎症剤で、病院で処方してもらう事ができます。このボルタレンを使う事で、初期にできる瘢痕組織のサイズを抑える効果が期待できます。(期待できると書いたのは、実際に証拠を取れないからであって、私自身は効果に確信を持っている)炎症反応が続く受傷後2〜3日間はボルタレンを使用したほうがいいでしょう。
◉微動だにしないほどの絶対安静
肉離れに限らず、スポーツで怪我をした際には決まって数日間の『安静』が重要であると言われていますが、肉離れという怪我は筋肉が引き伸ばされた事によって発生する事が多いため、挫傷後数日間はちょっとした刺激が入っただけでも肉離れを悪化させてしまうことがあります。
そのため、挫傷後数日間は微動だにすらしない程の絶対安静が重要です。運動をしなければ良いというものではなく、願わくば、歩く事も含めて一切の運動を停止する事が望ましい。
特に、もも裏(ハムストリング)を肉離れした場合は、単に椅子に座っただけでも肉離れの症状は悪化することがあります。『座る』という動作は、ハムストリングを伸ばさなければ行う事ができないため、痛めた筋繊維をさらに引き裂いてしまう事があるのです。
できれば立っているか、寝ているかのどちらかが受傷直後の『姿勢』としては望ましいわけですが、挫傷後数日間も座らずに生活していくのは現実的ではありません。なので、どうしても椅子に腰掛けたい場合は、以下の写真のような姿勢で座る様にしてください。
挫傷後少なくとも3日間は患部を縮めたままにしておく事を心がける。また、日常から受傷患部にテープを貼る事で、うっかり危険な姿勢を取ってしまいそうになった際に『ハッ』と気づく事ができます。
ちなみに、ハムストリングの肉離れの場合、座る動作の他には靴下をはく動作であったり、靴紐をむすぶ動作も注意が必要です。
【段階2】加速的な筋肉の修復方法
一通り炎症が治まってきたら、今度は筋肉の‘‘修復’’に全力を注ぎます。怪我が治るまでの期間、以下の内容をどれだけ多く取り入れる事ができるかによって、筋肉の修復スピードには2倍3倍の違いが出てきます。一つ一つ解説しますので、なるべく多くを実践してみてください。やるべきことは大きく分けて2つです。
【代謝を促進させ筋肉の修復を加速】
1:低負荷の運動
2:長風呂
3:患部のマッサージ
筋肉を修復させるためには結構と代謝の促進が不可欠です。全身の血行を良くし、血液の回転を早めることで短期間でも大幅な筋肉修復を見込む事ができます。例えば1日辺り血液が体内を全3周するとしましょう。この活動を促進する事で4周、5周と体内を動き回る血液のスピードが速まり、筋繊維の修復スピードを加速させることができます。(身体3周というのは例としての表記です)
◉低負荷の運動
怪我が悪化しない程度の運動を行うことによって、心拍数が上がり、血流のスピードを加速させる事ができます。運動で上がった心拍数は、運動後も数時間高い状態が維持されるため非常に代謝効果は高いです。ポイントは怪我が悪化しない程度で最大強度の運動を見極めることです。
◉長風呂
通常よりも長めの入浴を行うことで、心拍数を上げ、全身の血流を良くすることができます。入浴後もしばらくは高い心拍数を維持する事ができます。私の場合、肉離れの治療期間は1日あたり1時間の入浴を2セット行います。
◉肉離れ患部周辺のマッサージ
肉離れを起こした患部にできた瘢痕組織を放っておくと、そこの部分だけシコリのような塊ができてしまいます。筋繊維の修復中、いかにして患部の柔軟性を維持するかも早期回復の大きなポイントです。患部周辺を優しくマッサージすることで瘢痕組織の硬直化を防止し、周辺の血流が良くなります。
まだ内出血が収まったばかりの患部に強度のマッサージを行ってしまうと筋組織が裂け、肉離れの再発に繋がってしまうのでマッサージの強度には注意が必要です。
マッサージを開始する頃合いとして、『スポーツはできないが歩く事はできる』といった程度の肉離れであれば、受傷後7日間目辺りから開始すれば良いでしょう。また、受傷後3〜7日目の間は、整形外科などで行う低周波治療によって筋繊維に刺激を与えるのがベストです。
※注意点
患部の血行を良くするためにマッサージや電気治療を行うことは割と一般的な知識ですが、全身の血行が悪い状態で患部だけ血行を良くするなんて事は不可能です。患部の血行は、必ず全身の血行の良さと比例します。そにために、ここでは全身運動や全身浴が含まれているのです。
◉タンパク質大量摂取
筋肉の修復には筋肉の材料となるたんぱく質の大量摂取が非常に重要です。このたんぱく質が不足すると、怪我の回復時間に大きな遅れが生じます。
食事、プロテインを含め、1日の合計たんぱく質摂取量が100グラム以上になるように心がけてください。また、吸収のロスを減らすために、なるべく小分けにして回数多くプロテインを摂る事が望ましいです。
(さらに裏技)
就寝前にももちろんプロテインを飲むのですが、プロテインは消化の速度が早く、摂取後2時間ほどで血中に入り込みます。なので、就寝前にプロテインを飲んでも就寝後数時間も経てば胃の中は空になり、そこから目覚めるまではたんぱく質を摂取できない時間帯となるのです。このロスを減らすために、就寝前はプロテインの他に、卵や肉といった消化スピードの異なるたんぱく質を食べておく事で、プロテインの吸収が終わった後にも、胃腸の中でたんぱく質の吸収を継続することができます。つまり、寝ている時間の大部分も怪我の回復に当てることができると言うわけです。
◉カロリー大量摂取
たんぱく質の他に筋繊維の高速修復に不可欠なのが、カロリーの大量摂取です。これはボディービルダーが筋肉を肥大化させる‘‘増量期’’と同じ発想です。脂肪のつき方を考慮でず、『とにかく筋肉を大きくしたい』と考えた場合、多少脂肪がついたとしても大量の食事をとる方が効率よく、筋肉が大きくなることがわかっています。
今回のテーマである‘‘肉離れ’’も、筋繊維の修復という観点から見れば筋トレと原理は全く同じです。ボディービルダーの増量期のように、大量の食事を摂ることで筋繊維の修復を加速度的に早めることができます。
◉ビタミンB6群の摂取
ビタミンB6を中心としたビタミンB群は、体内に取りこんだたんぱく質の吸収を助け、破壊された細胞を修復させるために必要不可欠な栄養素です。プロテインを飲む際に一緒にビタミンB群のサプリメントを摂ることで、より加速的に筋肉の修復を行うことができます。このビタミンB群のサプリメントを摂るのと摂らないのでは、筋肉の修復速度に大きな差が生じます。
私が肉離れの治療時に使用しているB6サプリメントはSolgarのものです。
また、サプリメントに関してですが、メーカーによっては主成分の物質が全くと言って良いほど含まれていない物も多いので、自分でサプリメントを探す場合は、しっかりとメーカーに問い合わせるなどして主成分を確認することをお勧めします。
肉離れはの高速治癒は、これらのどれだけを実践できるかが勝負
今回紹介させていただいた方法を実行すれば、俗に言う『驚異的速さで回復』を意図的に狙って実現させることができます。 日本国内のアスリートの多くは、大した意識で競技に望んでいない事が多いため、ほとんどの場合で『放置』によって肉離れを治そうとする傾向にありますが、このブログの読者はそうでは無いと思っています。真剣に競技と向き合っている方々です。そのため多少スパルタではありますが妥協無き最高の方法を掲載させていただきました。