全身の柔軟性を爆発的に向上させる魔法、それが水中運動。
2023/12/26
今回はフィジカル理論、実験結果の共有記事。
『全身を緩める』という視点は、長友選手が発言し始めるようになって以来サッカー界でも注目度の高いテーマです。その具体的な身体の緩め方として、まずはじめに思いつくのは‘‘ストレッチ’’になるわけですが、『緩める』という意味において一般的に行われているストレッチは、実はあまり効率の良い方法ではありません。あ
そんなわけで、今回は『緩める』というテーマで、より効率的に全身を緩めていく方法について書いていきます。たった一回実践してもらうだけでも、驚くほどの変化を感じていただけると思います。
●筋肉を最も脱力させる『水中』という環境
筋肉の柔軟性を上げる方法として、とても効率が良いのがプールなどで行う水中運動です。水中という環境は、その浮力によって陸上よりも全身が脱力されます。そして、筋肉には力を抜けば抜くほど伸びやすくなるという性質があり、水中運動はこの性質を利用した者です。
一方、陸上でどんなに力を抜こうと試みても、重力が働く中で一定の体制を維持するには、どうしても多少の‘‘力み’’が必要になります。その『力み』を水の浮力を使って軽減させてやる事で、筋肉は陸上にいる時よりも伸びやすくなるのです。この原理に関しては、すでにいくつかの実験も存在しているので、その中のわかりやすい一例を、以下に貼り付けておきます。
国際武道大学の山本先生の研究資料http://trainer1985.kir.jp/articles/aqua_conditioning_tokushu_ni_atatte.html
具体的な方法としては、私も様々な方法で実験を重ねましたが、やはりここにも出ているように、静的なストレッチよりも、ダイナミックストレッチ等、身体を動かしながら行う動作の方が効率は良いです。この事は、実際に水中運動を試してもらえれば、誰にでもすぐに気がつく事ができるほど、顕著に違いを実感する事ができるでしょう。
掲載したページの実験データ
(ダイナミックストレッチの伸び率が非常に良い)
現在私は週に2回ペーズでプールに通い、水中での動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)を行っています。実際にこの理論にたどり着きプールに通い始めて2年が経過しましたが、全身の柔軟性は2年前と比べても格段に時向上しています。また、小学生の選手も、サッカーと並行してスイミングに通っている選手は、他の選手位と比べても非常に柔軟な股関節を保有している場合が非常に多いです。
●試合前のアップには最適な運動
特に、プールでのダイナミックストレッチは試合当日の準備として、非常に優れた効果があります。専門的な話になりますが、筋肉というのは力を入れながら引き延ばす‘‘エキセントリック’’と言われる動作によって、一定時間パフォーマンスが低下する事がわかっています。陸上選手がレース当日に静的ストレッチを行わないのはこのためな訳ですが、このエキセントリック的な動作が、水中運動では限りなく少ない。筋肉にダメージを残す事なく、全身を緩める事ができるのです。
さらに、一般的なストレッチでは、脚、腕周辺の筋肉は効率よく緩める事ができるものの、体幹部を緩めてくれるような動作が少ない事が多く、緩める事ができる箇所に必ずムラができるという問題があります。
この点水中での運動は、本当に全身をムラなく緩める事ができます。それは、高い浮力によって陸上ではでき無いような動作、体制も、容易に作る事ができるからです。例えば、全身を緩めるために非常に効率の良いドルフィンキックのような動作は、陸上では決して実践することはできません。
全身の筋肉に刺激を入れ、かつ全身の関節もしっかりと稼働させるドリフィンキック。サッカー選手の私達はここまで丁寧なフォームで行う必要はないので、プールサイドに捕まりながらドルフィンキックっぽい動作を取るだけで十分。40回程度のドルフィンキックで、体幹部の筋肉をかなり緩める事ができます。
たった一度だけでの水中運動でも、固まった身体がほぐれていくのを明確に実感する事ができるので、サッカー選手にも是非一度体感してほしいと思うウォームアップの一つです。